底抜け脱線人生の歩き方

夫の突然の交通事故死。限定承認、会社の清算、失業、未払い賃金立替闘争、父の死、婿ウツ、etc. 底抜け脱線人生の顛末。

呑んだくれて車道にでたら?

人身事故、というのは被害者がよっぽど非合法なことをしていない限り、歩行者に手厚く保証されるものだと勝手に思っていました。 世の中そんなに甘くありません。酔っぱらって車道に出たら、それも深夜、横断禁止の道路で。 止まっている車に勝手にぶつかっ…

K弁護士。

事故の交渉、ということで、とうとう正式に弁護士の力を借りることになりました。その先生は赤坂見附の駅そばにコンパクトでスマートなオフィスを構えておられました。いろいろなんですね。弁護士さんも(この後まだ何人か会っていますので、また書きます)…

Tさんのこと。

法との闘いはもうひとつありました。 それは損害賠償請求という作業。 当初、人身事故なんだから、それなりに立派な肩書きがあるんだから、結構な金額が取れるだろうと勝手に想像していました。 私の心のなかには漠然と「潤沢な資金の元、安穏とした生活を送…

どうしてあなたが来るんですか?

横浜地方裁判所。 着いた時はお昼で、午後の業務開始を待って、競売の申請窓口を訪ねました。 まず、家を競売にかける為にはどうすれば良いのか、と尋ねました。 すると窓口の人は「奥さんが来たんですか?弁護士じゃないんですか?」と言います。 私が財産…

財産管理人は何をやるの?

何もしないでままひと月が経っていましたから、もう、大変です。 自分が何をしなければならないのか、結局、ネットで調べる位しか手のない私。 裁判所に電話して担当書記官さんに尋ねても「裁判所ではアドバイスも指示もしません」の一点張り。 私は法に触れ…

あなたが財産管理人でしょ!?

裁判所に申述をして、受理の通知が来たのは10月の終わりだったと思います。 11月の第二週の政府公報に他の方々の公報とともに、限定承認の公告は掲出されました。内容は「この度死亡したヤツの財産相続は限定承認になったので、債権を持つ者は2ヶ月以内に申…

裁判所へ

ともはれ、弁護士のいう「限定承認」とやらいう手続きをやらねばならぬ、と頭の中は一直線。ネットで調べて書式をダウンロードして、手続きに必要な確認書類を集める。 そんな作業はやろうと思えばやれるものです。ただ、それがどんなことを含んでいるのかな…

生まれ変わりの子猫。

それでも、毎日職場に通うドラちゃんを見ていて思うのです。職場が楽しい、とは言いますがそれでも仕事というのは学校で学ぶのとは大違いで、嫌なこともたくさんあるはずなのです。学校のときはちょっと嫌なことがあるとすぐに行かなくなってしまったアイツ…

子どもたち。

ヤツが突然いなくなって、さぞかし…、のはずですが、 不幸中の幸いと言うか、子どもたちは既に成人しそれぞれ学業も終え、(勉強が嫌いだったらしい)といっても、助けになるほどしっかりもせず、というところ。 おねーちゃんは既におかーさん。19の年で突然…

偲ぶ会@横浜

あの秋の日、本葬が終わったあと、帰路につく車中で携帯が鳴りました。 ヤツがこよなく愛した横浜・野毛地区の飲食店の店主さんからでした。この方は以前よりこの地区の街おこしの活動に熱心に取り組んでおられる方で、2009年の博覧会の際には地元市民の取り…

偲ぶ会@名古屋

名古屋は、ヤツが多いに活躍させて頂いた街。会社を立ち上げた頃、まず取り組んだ犬山市のイベントを皮切りに2005年のあの博覧会に至るまで、ヤツと苦楽を共にした仲間がたくさんいるはずでした。 当初から、東京での本葬に参列出来なかった名古屋の人々の為…

残務処理

8月下旬には、最後に実施したイベントの仕事の報告書を出さなければなりませんでした。 もっとも、その報告書を作ってヤツに投げて旅に出て、戻ってこれ、でしたから、概ねものは出来ていました。 そのクライアントさんに、業務の進行の報告を兼ね、挨拶に行…

お話。

祭壇にはヤツが愛した書籍の一部を飾りました。哲学・思想系、キリスト教関係から、小説、アート、漫画に至るまで。 家が歪んで窓が開かなくなるほどの蔵書がありましたから、そこから選ぶのも大変。 真ん中には骨になっちまったヤツを置き、 後ろの壁には、…

雨。

生前、山奥に満開の桜を撮りに行けば大雪、セミナークルーズの企画を実施すれば台風、万博開会式にも雪が積もる。嵐を呼ぶ男、と呼ばれたヤツ。でも、そういう仕事はみな、大成功する、不思議な男でもありました。 例年になく暑い夏でした。記録的何とか、と…

お別れ礼拝

本葬は「お別れ礼拝」と銘うって、私、小川家とヤツが牧していたオイコス・チャペルが主催して会社が協力する形で進めることにしました。 問題は「司式」。 通常、仏教なら僧侶がいないとお経が読めません。キリスト教の場合はそこまで聖職者に特化した儀式…

幻のワークショップ告別式

事務所に会社のスタッフを集めました。正確には元スタッフたち。 彼らは会社の業績が落ち込んで給与も払えない中、ギリギリまで協力してくれて、耐えきれずに出て行かざるを得なかった子たちで、ヤツのことを理解し尊敬してくれていた貴重な人材でした。 当…

お兄ちゃんから電話!?

ある日、ヤツのお兄さんから電話がかかって来ました。ヤツよりひと回り年上のお兄さんは戦中生まれで長男意識が強く、ワンマンな団塊の世代。私からすると舅以外の何もにでもない、という印象で怖くて近づけない存在でした。(嫁に行った時にはお父さんは既…

限定承認とは(解説)

限定承認、って何でしょう? 遺産相続の三つの方法のうちの一つなんですが、知らなくて当たり前です。全国で一年間に1000例あるかないか、の相続方法ですから。死んだ人間の数だけ「相続」は発生するわけですから、この数字がいかに少ないか、お分かりになる…

弁護士との面談(親分子分の二人組)

事情は複雑です。ヤツは友人たちとこの会社を立ち上げました。当初社長に据えた男は能力はあったにもかかわらず酷い喘息もちで、突然連絡不能になってしまうリスキーな人でした。仲間たちでその彼をなんとかするために作った会社でした。 高い家柄に生まれ、…

涙の決勝戦

ヤツの借金を背負わなければならない。 頭の中がその大きな重荷でぐるぐるになりました。 私は日本バドミントン協会公認1級審判員の資格を持っています。 9月1日は関東総合バドミントン選手権に審判員として参加する予定があり、どうしても今まで続けてきた…

おおあり!!!!!!!

仕事を休んでもいられませんので、事務所にも行きました。 といっても、社員は私一人ですし、事務所にいるのは取締役のM氏だけ。M氏には事業継続をする能力はありませんでしたから、会社はたたむしかないだろうと思っていました。 事務所に行くと、M氏から会…

小人の庭師さん

一週間後のことでした。密葬の後、警察にいったり役所にいったり、そして事務所にも顔を出し、と休むヒマはありませんでした。8月24日の夜は遅くなりました。いつものようにどろどろに疲れて帰ってきて、休んで目覚めた朝、窓の外をみて驚きました。 お庭の…

長いお別れ

告別式が終われば、遺体は荼毘にふされます。日本では当たり前のことですが。 私たちには関係ないことだったのですが、その日は友引でした。そう、友引にはお葬式が少ないのです。なので、横浜の火葬場は友引に順繰りに休むのだそうで、通常は近くの火葬場に…

告別礼拝

ひと夜が明けました。 まだ全ては夢の中の出来事のようでした。 告別式もまた、ノープログラム。何てったって牧師の葬式だし。他の牧師に頼んでも良かったけれど、誰ひとり彼のことを深く知る牧師はいませんでした。 じゃ、かくなる上は本人に語ってもらいま…

加害者Sさんのこと

そこには加害者Sさんも同席していました。 こういう時は、事故の示談ということでは、加害者の方も参列して誠意をみせなければならない、ということもあるようです。私は事前に連絡して、キリスト教式なのでうずっと場にいなければなりません、仏教式のよう…

前夜式の分ち合い

そう、前夜式は集まった人全員にヤツとの関係について話してもらいました。 仕事でつながった人、教会でつながった人、親戚、遺族…。 前夜式のお礼拝はいつも、毎日曜日に私たちオイコスチャペルが行なって来たように、食事と分かち合い(それぞれのスピーチ…

通夜。いや前夜式。

キリスト教では通夜のことを「前夜式」と言います。 ヤツが亡くなってから葬式をどうしようかと迷いました。I牧師に頼もうかとも思いました。でも、形のない我が教会です。戸惑わせるのがオチです。 しゃあない。やるっきゃない。そう決めました。 実は、あ…

大きなおにぎり!そしてウエストのシュークリーム

また、一夜が明けました。今夜はお通夜。 朝一にベルが鳴りました。玄関には夕べ、ロウソクをガンガン燃やして下さったSさんちのご主人が立っていました。 ご主人はお盆に大きなおにぎりを載せ、鍋を持っていました。とにかく食べなさい、と届けてくれたので…

飛び込んでくる人々

はなから小さく弔うつもりでおりました。しかし、世間に知られてしまうと、会社の関係者の間では大混乱になったようです。 会社でも幹部ではなかった私は一人で他の人とば違うプロジェクトを任されていたこともあって、普通の社員以下の存在でした。たまに新…

枕花と葬儀屋の荘ちゃん

荘ちゃんがヤツを連れて戻って来ました。 キリスト教式のお葬式の流儀はよく分からないんですが、と荘ちゃんはいうけれど、私たちの教会でも葬式を出すのは初めてで、まさかそれが牧師の葬儀だなんてシャレになりません。 私たちの教会はまったく形式という…