底抜け脱線人生の歩き方

夫の突然の交通事故死。限定承認、会社の清算、失業、未払い賃金立替闘争、父の死、婿ウツ、etc. 底抜け脱線人生の顛末。

2014-01-01から1年間の記事一覧

幻のワークショップ告別式

事務所に会社のスタッフを集めました。正確には元スタッフたち。 彼らは会社の業績が落ち込んで給与も払えない中、ギリギリまで協力してくれて、耐えきれずに出て行かざるを得なかった子たちで、ヤツのことを理解し尊敬してくれていた貴重な人材でした。 当…

お兄ちゃんから電話!?

ある日、ヤツのお兄さんから電話がかかって来ました。ヤツよりひと回り年上のお兄さんは戦中生まれで長男意識が強く、ワンマンな団塊の世代。私からすると舅以外の何もにでもない、という印象で怖くて近づけない存在でした。(嫁に行った時にはお父さんは既…

限定承認とは(解説)

限定承認、って何でしょう? 遺産相続の三つの方法のうちの一つなんですが、知らなくて当たり前です。全国で一年間に1000例あるかないか、の相続方法ですから。死んだ人間の数だけ「相続」は発生するわけですから、この数字がいかに少ないか、お分かりになる…

弁護士との面談(親分子分の二人組)

事情は複雑です。ヤツは友人たちとこの会社を立ち上げました。当初社長に据えた男は能力はあったにもかかわらず酷い喘息もちで、突然連絡不能になってしまうリスキーな人でした。仲間たちでその彼をなんとかするために作った会社でした。 高い家柄に生まれ、…

涙の決勝戦

ヤツの借金を背負わなければならない。 頭の中がその大きな重荷でぐるぐるになりました。 私は日本バドミントン協会公認1級審判員の資格を持っています。 9月1日は関東総合バドミントン選手権に審判員として参加する予定があり、どうしても今まで続けてきた…

おおあり!!!!!!!

仕事を休んでもいられませんので、事務所にも行きました。 といっても、社員は私一人ですし、事務所にいるのは取締役のM氏だけ。M氏には事業継続をする能力はありませんでしたから、会社はたたむしかないだろうと思っていました。 事務所に行くと、M氏から会…

小人の庭師さん

一週間後のことでした。密葬の後、警察にいったり役所にいったり、そして事務所にも顔を出し、と休むヒマはありませんでした。8月24日の夜は遅くなりました。いつものようにどろどろに疲れて帰ってきて、休んで目覚めた朝、窓の外をみて驚きました。 お庭の…

長いお別れ

告別式が終われば、遺体は荼毘にふされます。日本では当たり前のことですが。 私たちには関係ないことだったのですが、その日は友引でした。そう、友引にはお葬式が少ないのです。なので、横浜の火葬場は友引に順繰りに休むのだそうで、通常は近くの火葬場に…

告別礼拝

ひと夜が明けました。 まだ全ては夢の中の出来事のようでした。 告別式もまた、ノープログラム。何てったって牧師の葬式だし。他の牧師に頼んでも良かったけれど、誰ひとり彼のことを深く知る牧師はいませんでした。 じゃ、かくなる上は本人に語ってもらいま…

加害者Sさんのこと

そこには加害者Sさんも同席していました。 こういう時は、事故の示談ということでは、加害者の方も参列して誠意をみせなければならない、ということもあるようです。私は事前に連絡して、キリスト教式なのでうずっと場にいなければなりません、仏教式のよう…

前夜式の分ち合い

そう、前夜式は集まった人全員にヤツとの関係について話してもらいました。 仕事でつながった人、教会でつながった人、親戚、遺族…。 前夜式のお礼拝はいつも、毎日曜日に私たちオイコスチャペルが行なって来たように、食事と分かち合い(それぞれのスピーチ…

通夜。いや前夜式。

キリスト教では通夜のことを「前夜式」と言います。 ヤツが亡くなってから葬式をどうしようかと迷いました。I牧師に頼もうかとも思いました。でも、形のない我が教会です。戸惑わせるのがオチです。 しゃあない。やるっきゃない。そう決めました。 実は、あ…

大きなおにぎり!そしてウエストのシュークリーム

また、一夜が明けました。今夜はお通夜。 朝一にベルが鳴りました。玄関には夕べ、ロウソクをガンガン燃やして下さったSさんちのご主人が立っていました。 ご主人はお盆に大きなおにぎりを載せ、鍋を持っていました。とにかく食べなさい、と届けてくれたので…

飛び込んでくる人々

はなから小さく弔うつもりでおりました。しかし、世間に知られてしまうと、会社の関係者の間では大混乱になったようです。 会社でも幹部ではなかった私は一人で他の人とば違うプロジェクトを任されていたこともあって、普通の社員以下の存在でした。たまに新…

枕花と葬儀屋の荘ちゃん

荘ちゃんがヤツを連れて戻って来ました。 キリスト教式のお葬式の流儀はよく分からないんですが、と荘ちゃんはいうけれど、私たちの教会でも葬式を出すのは初めてで、まさかそれが牧師の葬儀だなんてシャレになりません。 私たちの教会はまったく形式という…

リークされた訃報。

明けて朝。 先ず、警察に行かねばなりませんでした。あの夜、事情聴取のお巡りさんは事故の発表では匿名にするかと訊ねて下さいました。とにかく、時間が欲しかったので「お願いします」と答えました。目の前でお巡りさんはその旨を伝えてくれました。 なの…

事故の顛末

いろんな人から聞かれましたからご存知のかたも多いのですが、この事故がどういう経緯で起こったか、書いておかなければなりませんね。 あの日、ヤツは午後3時ごろまで事務所にいたようです。当時、事務所で働いていたのははヤツと取締役のM、そして平社員の…

事故が私を解放してくれた?

とにかく眠らなければ。一旦帰宅して寝ることにしたけれど、ベッドの上で寝ているのか起きているのか良く分からない状態で彷徨っていました。ヤツが死んだ、と知らされたとき、私を解き放ってくれたのか?とも思いました。後でそれはとんでもない勘違いだと…

住職!お葬式です!

ー遺骸に取りすがって泣く妻。息子に抱きかかえられて泣き崩れる奥さん。 あり得ない。私に限って。 他に誰がことを運べるでしょう?息子も娘も世間知らず。教会も小さくて、そも、牧師が死んでしまって一体誰が司式をするんだ!? 呆然と立ちつくすことさえ…

終わりの始まり。

病院で通されたのは待ち合い部屋。ヤツはICUにいるのだと言う。ICUですか。 ずいぶんと大仰な…。 長く待たされました。 その間に持ち出し忘れた携帯電話をドラちゃんに取りに戻ってもらいました。やっぱりどこか慌てていたんだね。 どうして、こんなに待たさ…

すべてはあの夜、始まった。

2012年8月15日。 この際、終戦記念日だったことはどっちでもいいこと。 連日の熱帯夜。私は前の週に大きな仕事を終えて、報告書も書き、やっと三日ほどのオフをもらって、大好きな京都の街を浮遊し、病床の父を大阪に見舞って、終電何本か前の新幹線で帰宅し…

プロローグ ここからはじまる、大レース!?—。

タイヘンな二年間ー(いや、それ以降も底抜け人生は続いているが)。 たしかに、それまでの歩みもタイヘンで、いつまで続くぬかるみぞ、と思っていた矢先の事件でした。 死んだオットは企画会社の社長。ちょっと前にはお国のお祭とか大層なイベントのプロデ…