Tさんのこと。
法との闘いはもうひとつありました。
それは損害賠償請求という作業。
当初、人身事故なんだから、それなりに立派な肩書きがあるんだから、結構な金額が取れるだろうと勝手に想像していました。
私の心のなかには漠然と「潤沢な資金の元、安穏とした生活を送り、 周りで頑張ってばっているけど世の中に認められていない、アーティストや職人たちの良いパトロンになる」という姿がありました。「和製ターシャ・テューダーのような生活を」というと聞く人ほぼ全てが口を揃えて「似合わない」と言います。
私って、そんなに落ち着きのない人間なんでしょうか?(笑)
ともはれ、素人が賠償交渉なんてとても出来ない、と悩んでいましたら、密葬のときに駆けつけてくれた牧師仲間のI先生の教会の会員に損害保険の代理店をやっている方がおられるので、相談してみたら、と紹介をうけました。
Tさんは今回の事件とは関わりのない会社の保険を扱う方でしたが、こんなときにどんなことをすれば良いのかお聞きしたくなり、お願いすることにしました。
あまり日を置かず、すぐにTさんは来てくださいました。パーキンソン病の手術を受けられて快復されたばかり、ということで、足が少しお辛いのと話すことに少し苦労されている様子でした。
でも、暑い夏の日に彼はきてくれました。現場を視察し、状況をよくよく聞いて下さいました。
Tさんは私と同じ信仰をお持ちでしたから、現実の厳しさを直視しながら、アドバイスを下さると同時に祈ることや励ます言葉で、私たちを支えてくれました。
そのTさんの紹介でしかるべき弁護士さんに交渉を依頼することにしました。