どうしてあなたが来るんですか?
着いた時はお昼で、午後の業務開始を待って、競売の申請窓口を訪ねました。
まず、家を競売にかける為にはどうすれば良いのか、と尋ねました。
すると窓口の人は「奥さんが来たんですか?弁護士じゃないんですか?」と言います。
私が財産管理人ですが、何か?というと、いや、普通、ここには業者か弁護士しか来ないんで、と言う。
いや、法は財産管理人が手続きせよ、言ってんじゃないの?
で、事情を話し、競売にかける手続きについて教えてくれ、と言うと
窓口の人はまるで始めて聞いたことのことのように慌て始め、分厚い本を取り出し、仲間と話し合い始めてしまいました。そんなに珍しいことだったんでしょうか?
競売にかけるにはその財産は売り出す人のものになっていなければならない。=相続をしなければならない。but 相続できるかどうか分からないわけで、私のものになっていない=競売にかけることができない。
あれー?
で、どうも的外れな話になって行き、ついにその人は言いました。
「ですから、これは家庭裁判所の仕事ですっ!」
はあ?
弁護士が地裁に行け、って言ったんですよ。プロの法律家が…。
というお粗末な顛末で、今度は家庭裁判所へ。
そこで知ったのは、
家を競売にかけるかどうか決める前に、家の価値を測る鑑定人の選定を裁判所に申請しなければならない、と言うことでした。
家と土地の鑑定を行って、その価格が判明した時点で、同じ金額を用意出来れば、家とお金を取り替えることで、財産の一部を先買することができるのです。
買えなければそこで初めて競売、ということになるのです。
一度整理しましょう。もう一回。
限定承認とは、相続のやり方の一つで、死んだ人間の自己破産のようなものです。借金を返せなくなった場合、個人でも法人でも破産することがあります。そんな時、破産管財人を立てて財産を整理し、債権者に分配した上で支払えない債務については免責してもらう、ということがあります。
それと同じことをするわけです。
まず、債権者を特定し、(そのために公告を出し、期間を決めて債権者が申し出るように促します)債務額を確かめ、それから、ヤツの財産を調べ、必要に応じて換価して全てを金銭化します。その財産を債務額に応じて按分して債権者に支払えば全て終わりです。
もし、財産が債務より多ければ、残りは相続人が相続します。少なければ残りは免責です。
…と書けば、簡単な事のように思えますか、そうそう簡単なことではありませんでした。
それぞれの作業ごとに、まあ、いろいろとあった訳で。
おそらく、債権者としては多少なりとも弁済されるわけですから相続放棄よりは好ましいのでは、と思いますが、ほとんどが金融業者なので、額の小さいところは処理に時間がかかって効率が悪い、と思うかもしれません。
それでも、「申述」してしまいましたから、もう後戻りはできません。
その作業の中で最も大変だったのが、自宅不動産の換価と買い取りだったのです。