底抜け脱線人生の歩き方

夫の突然の交通事故死。限定承認、会社の清算、失業、未払い賃金立替闘争、父の死、婿ウツ、etc. 底抜け脱線人生の顛末。

グリーフケア

子どもたち。

ヤツが突然いなくなって、さぞかし…、のはずですが、 不幸中の幸いと言うか、子どもたちは既に成人しそれぞれ学業も終え、(勉強が嫌いだったらしい)といっても、助けになるほどしっかりもせず、というところ。 おねーちゃんは既におかーさん。19の年で突然…

偲ぶ会@横浜

あの秋の日、本葬が終わったあと、帰路につく車中で携帯が鳴りました。 ヤツがこよなく愛した横浜・野毛地区の飲食店の店主さんからでした。この方は以前よりこの地区の街おこしの活動に熱心に取り組んでおられる方で、2009年の博覧会の際には地元市民の取り…

偲ぶ会@名古屋

名古屋は、ヤツが多いに活躍させて頂いた街。会社を立ち上げた頃、まず取り組んだ犬山市のイベントを皮切りに2005年のあの博覧会に至るまで、ヤツと苦楽を共にした仲間がたくさんいるはずでした。 当初から、東京での本葬に参列出来なかった名古屋の人々の為…

残務処理

8月下旬には、最後に実施したイベントの仕事の報告書を出さなければなりませんでした。 もっとも、その報告書を作ってヤツに投げて旅に出て、戻ってこれ、でしたから、概ねものは出来ていました。 そのクライアントさんに、業務の進行の報告を兼ね、挨拶に行…

お話。

祭壇にはヤツが愛した書籍の一部を飾りました。哲学・思想系、キリスト教関係から、小説、アート、漫画に至るまで。 家が歪んで窓が開かなくなるほどの蔵書がありましたから、そこから選ぶのも大変。 真ん中には骨になっちまったヤツを置き、 後ろの壁には、…

雨。

生前、山奥に満開の桜を撮りに行けば大雪、セミナークルーズの企画を実施すれば台風、万博開会式にも雪が積もる。嵐を呼ぶ男、と呼ばれたヤツ。でも、そういう仕事はみな、大成功する、不思議な男でもありました。 例年になく暑い夏でした。記録的何とか、と…

お別れ礼拝

本葬は「お別れ礼拝」と銘うって、私、小川家とヤツが牧していたオイコス・チャペルが主催して会社が協力する形で進めることにしました。 問題は「司式」。 通常、仏教なら僧侶がいないとお経が読めません。キリスト教の場合はそこまで聖職者に特化した儀式…

幻のワークショップ告別式

事務所に会社のスタッフを集めました。正確には元スタッフたち。 彼らは会社の業績が落ち込んで給与も払えない中、ギリギリまで協力してくれて、耐えきれずに出て行かざるを得なかった子たちで、ヤツのことを理解し尊敬してくれていた貴重な人材でした。 当…

涙の決勝戦

ヤツの借金を背負わなければならない。 頭の中がその大きな重荷でぐるぐるになりました。 私は日本バドミントン協会公認1級審判員の資格を持っています。 9月1日は関東総合バドミントン選手権に審判員として参加する予定があり、どうしても今まで続けてきた…

小人の庭師さん

一週間後のことでした。密葬の後、警察にいったり役所にいったり、そして事務所にも顔を出し、と休むヒマはありませんでした。8月24日の夜は遅くなりました。いつものようにどろどろに疲れて帰ってきて、休んで目覚めた朝、窓の外をみて驚きました。 お庭の…

告別礼拝

ひと夜が明けました。 まだ全ては夢の中の出来事のようでした。 告別式もまた、ノープログラム。何てったって牧師の葬式だし。他の牧師に頼んでも良かったけれど、誰ひとり彼のことを深く知る牧師はいませんでした。 じゃ、かくなる上は本人に語ってもらいま…

加害者Sさんのこと

そこには加害者Sさんも同席していました。 こういう時は、事故の示談ということでは、加害者の方も参列して誠意をみせなければならない、ということもあるようです。私は事前に連絡して、キリスト教式なのでうずっと場にいなければなりません、仏教式のよう…

前夜式の分ち合い

そう、前夜式は集まった人全員にヤツとの関係について話してもらいました。 仕事でつながった人、教会でつながった人、親戚、遺族…。 前夜式のお礼拝はいつも、毎日曜日に私たちオイコスチャペルが行なって来たように、食事と分かち合い(それぞれのスピーチ…

通夜。いや前夜式。

キリスト教では通夜のことを「前夜式」と言います。 ヤツが亡くなってから葬式をどうしようかと迷いました。I牧師に頼もうかとも思いました。でも、形のない我が教会です。戸惑わせるのがオチです。 しゃあない。やるっきゃない。そう決めました。 実は、あ…

大きなおにぎり!そしてウエストのシュークリーム

また、一夜が明けました。今夜はお通夜。 朝一にベルが鳴りました。玄関には夕べ、ロウソクをガンガン燃やして下さったSさんちのご主人が立っていました。 ご主人はお盆に大きなおにぎりを載せ、鍋を持っていました。とにかく食べなさい、と届けてくれたので…

飛び込んでくる人々

はなから小さく弔うつもりでおりました。しかし、世間に知られてしまうと、会社の関係者の間では大混乱になったようです。 会社でも幹部ではなかった私は一人で他の人とば違うプロジェクトを任されていたこともあって、普通の社員以下の存在でした。たまに新…

枕花と葬儀屋の荘ちゃん

荘ちゃんがヤツを連れて戻って来ました。 キリスト教式のお葬式の流儀はよく分からないんですが、と荘ちゃんはいうけれど、私たちの教会でも葬式を出すのは初めてで、まさかそれが牧師の葬儀だなんてシャレになりません。 私たちの教会はまったく形式という…

リークされた訃報。

明けて朝。 先ず、警察に行かねばなりませんでした。あの夜、事情聴取のお巡りさんは事故の発表では匿名にするかと訊ねて下さいました。とにかく、時間が欲しかったので「お願いします」と答えました。目の前でお巡りさんはその旨を伝えてくれました。 なの…

事故の顛末

いろんな人から聞かれましたからご存知のかたも多いのですが、この事故がどういう経緯で起こったか、書いておかなければなりませんね。 あの日、ヤツは午後3時ごろまで事務所にいたようです。当時、事務所で働いていたのははヤツと取締役のM、そして平社員の…

事故が私を解放してくれた?

とにかく眠らなければ。一旦帰宅して寝ることにしたけれど、ベッドの上で寝ているのか起きているのか良く分からない状態で彷徨っていました。ヤツが死んだ、と知らされたとき、私を解き放ってくれたのか?とも思いました。後でそれはとんでもない勘違いだと…

住職!お葬式です!

ー遺骸に取りすがって泣く妻。息子に抱きかかえられて泣き崩れる奥さん。 あり得ない。私に限って。 他に誰がことを運べるでしょう?息子も娘も世間知らず。教会も小さくて、そも、牧師が死んでしまって一体誰が司式をするんだ!? 呆然と立ちつくすことさえ…

終わりの始まり。

病院で通されたのは待ち合い部屋。ヤツはICUにいるのだと言う。ICUですか。 ずいぶんと大仰な…。 長く待たされました。 その間に持ち出し忘れた携帯電話をドラちゃんに取りに戻ってもらいました。やっぱりどこか慌てていたんだね。 どうして、こんなに待たさ…

すべてはあの夜、始まった。

2012年8月15日。 この際、終戦記念日だったことはどっちでもいいこと。 連日の熱帯夜。私は前の週に大きな仕事を終えて、報告書も書き、やっと三日ほどのオフをもらって、大好きな京都の街を浮遊し、病床の父を大阪に見舞って、終電何本か前の新幹線で帰宅し…