小人の庭師さん
一週間後のことでした。密葬の後、警察にいったり役所にいったり、そして事務所にも顔を出し、と休むヒマはありませんでした。8月24日の夜は遅くなりました。いつものようにどろどろに疲れて帰ってきて、休んで目覚めた朝、窓の外をみて驚きました。
お庭の植木が綺麗に剪定されて、すっきりと変わっていたのです。
思わず電話をいたしました。あの日、晩ごはんの途中でとんできてくれた市バスの運転手Nさんのところへ。
電話に出たNさんに言いました。
ーー夜中に小人さんたちがやってきて、うっほうっほとお庭で作業をしてどこかへ行ってしまったようなんですが、小人さんを知りませんか?
Nさんは言いました。「まりさん、それはええ歳こいたおじさんの小人さんが二人ですよ。」
Nさんはまったく手入れも施せずぼうぼう状態のお庭を見て、お庭仕事が趣味という先輩に相談したそうです。その先輩には作業は自分一人でやる、と言ったそうですが、先輩はオマエ一人じゃ無理だ、とプロ仕様の道具一式もって助っ人に加わって下さったそうです。
夜、帰ってきたときには暗くて私は気づかなかったんです。
「オガワさんに何もしてあげられなかったから」と電話の向こうのNさんはなんだか嬉しそうでした。