底抜け脱線人生の歩き方

夫の突然の交通事故死。限定承認、会社の清算、失業、未払い賃金立替闘争、父の死、婿ウツ、etc. 底抜け脱線人生の顛末。

あなたが財産管理人でしょ!?

裁判所に申述をして、受理の通知が来たのは10月の終わりだったと思います。

11月の第二週の政府公報に他の方々の公報とともに、限定承認の公告は掲出されました。内容は「この度死亡したヤツの財産相続は限定承認になったので、債権を持つ者は2ヶ月以内に申し出るように」というような趣旨の文章です。

 

前に、きっちりお知らせしましたが、もう一回おさらい。

限定承認とは、亡くなった人間の自己破産みたいなものです。故人の持ち物を探し出し、全て換価して数値化し、債権者の持つ債権額で按分して分けます。故人の財産が債権額より多ければ残りは相続人が相続し、少なければ足らない額は債権は放棄となります。

 

何故、こんな方法が存在するのかと言うと、単純承認(相続)では、故人の借財が多すぎる時に相続人は自分の財産まで取られてしまいます。放棄すればその責任は逃れられますが、住んでいる家や財産が故人の名義であったものもことごとく失うことになります。もちろん債権者にも配当はありません。

 

第3の方法である限定承認では、故人の財産を換価するにあたって、相続人達が家や価値のある遺品などに対しその評価額を差し出すことで優先的に買い取ることが出来るのです。これを「先賣権」と言います。

 

私たちは路頭に迷うわけにはいかなかったので、この第3の方法を選んだのです。ただし、買い取ろうとしていた家の価格はまだ測られておらず、私の手元にもほとんどお金は無かったのです。そこは「賭け」でした。

 

全く知識も経験もないワタシ。まさか過去にそんな経験があったら、どんだけー!?(古いなぁ…)というところですよね。

まずは、裁判所にも行き、公報も出し、やれやれ、と思っていました。

ところがひと月ほど経ったある日、債権者の一人、というか業者の担当から電話がかかって来ました。

「…さんの奥さんですね」はい、そうですが。

「債権の返済は、進捗はどうなっているんですか?」

はあ、限定承認いたしましたが。

「だったら、私どもの債権はどうなっているんですか?」

はあ、限定承認いたしましたが。

「あなた、財産管理人でしょ!管理人としての仕事をしてくださいっ!」

 

相続放棄なら、そう伝えるだけで、相手は引き下がったことでしょう。

私はどこか、放棄と同じように扱って貰える、と根拠のない甘えたイメージを持っていたのです。あとは放っておけば良い、2ヶ月の間にきっと誰も申し出てこない、と思っていたのです。

どっこい、そうは問屋が卸さない。

 

管理人の仕事?何をすればいいんでしょう?

 

慌てて、例の会社のN弁護士に電話しました。

そう、彼は「申し出る人がいるんですか?」と言いました。たぶん、本当に分かっていなかったのでしょう。

 

さあ、決戦の火蓋は、、、もう切られてたの!?