底抜け脱線人生の歩き方

夫の突然の交通事故死。限定承認、会社の清算、失業、未払い賃金立替闘争、父の死、婿ウツ、etc. 底抜け脱線人生の顛末。

大きなおにぎり!そしてウエストのシュークリーム

また、一夜が明けました。今夜はお通夜。

朝一にベルが鳴りました。玄関には夕べ、ロウソクをガンガン燃やして下さったSさんちのご主人が立っていました。

ご主人はお盆に大きなおにぎりを載せ、鍋を持っていました。とにかく食べなさい、と届けてくれたのです。

大きなおにぎりでした。鍋には味噌汁。ご主人自ら握って下さったというのです。数えると10個!いくらドラちゃんが大食漢だとしても、これは多過ぎる…。中にはいくらが贅沢に入っていました。

このおにぎりは後で集まった教会のメンバーたちのお腹に収まって、みんなを幸せにしてくれました。

 

昔、ヤツと私が副牧師夫婦として隣町の教会に仕えていた、その教会の主任牧師はアメリカ人で、まあ、いろいろあって、私たちは独立しちゃったのですが。

その主任牧師夫妻も休暇をとっていた野尻湖から飛んで来られました。べつに…来られただけで、ヤツにしみじみ恨み言を言って帰って行きました。彼もまたヤツにしか興味がない牧師たちの一人に過ぎなかったわけです。遺された妻や家族は使い古しだったかな。あ、いやいやいや。(^^;;

 

お昼過ぎにはNさんがやってきて、通夜の客が集まりやすいようにと、ぼうぼうとはやし放題だった庭の草や植木を刈ってくれました。

 

通夜の手伝いをしてくれる友人のI牧師が遠く墨田区からやって来ました。彼と私が出会ってからもう25年以上になります。グラフィックデザイナーでもある彼とはクリエイターとしてもつき合ってきました。子どもたちの「第二の父」。(子どもたちには第三、第四と父親がたくさんいるんです)出会った当初、彼はまだ神学生で私のほうはまさか夫が牧師になるとは思いもしなかった。振り返ってみるとヤツの牧師友達にも密葬を手伝ってくれた人はいたけれど、その後、折りに触れ励まし訪ねてくれた牧師は彼一人でした。電話一本で役目を果たしたと思っている地域の大きな教会の牧師もいたし、本葬の前にカード一枚で済ませる牧師もいました(あとでクリスマスにお訪ねして冷たくあしらわれ、大いに傷つきました)。喜ぶ者とともに喜び、泣く者とともに泣くような牧師なんて、本当は稀にしかいないのかな、と思いました。

I牧師はヤツと私たちのために得意のギター演奏で支えてくれました。

 

夕方、事務所の元スタッフ、Sくんが両手に大きな紙袋を持ってやってきました。銀座ウエストでシュークリームを全部買い占めてきたと言います。

 

ヤツはここ数年「糖質低減ダイエット」に熱心でした。愛・地球博で12キロ痩せて、「万博はダイエットに良い」と冗談を飛ばしていましたが、いよいよ糖尿病の診断を受けたとき、カロリー制限食を嫌い(というのはこれはアルコール禁止だから)、糖質低減がいいのだと(蒸留酒には糖質がない、というのが持論)せっせと勤しんでおりました。そのヤツが「明日死ぬと分かったら、最後には銀座ウエストのシュークリームをほおばって死にたい」と言っていたのをSくんは覚えていたのです。

 

夕方ーわらわらと人が集まってきました。

ウエストのシュークリーム、実は夏、17時以降は買えません。